ETF(上場投資信託)とは?
ETF(Exchange Traded Fund、上場投資信託)は、株式や債券、商品などの資産を集めて構成した投資信託の一種です。
これを証券取引所に上場し、株式のように市場で自由に売買できる商品です。
ETFはその手軽さと分散投資の利便性から、個人投資家を中心に人気を集めています。
本記事では、ETFの基本的な仕組み、メリット・デメリット、投資方法について詳しく解説します。
ETFの仕組み
ETFは、基本的には「ファンド」として投資家から資金を集め、その資金でさまざまな金融商品を購入する仕組みです。
しかし、ETFの特徴的な点は、証券取引所に上場しているため、株式のように市場でリアルタイムで売買できるということです。
ETFは、特定のインデックス(株価指数や債券指数など)やテーマ(ESG投資、セクター別投資など)に連動するように設計されています。
例えば、日経平均株価に連動するETFであれば、日経平均を構成する株式を保有しています。
これにより、ETFを購入することで、個別株を直接購入することなく、特定の市場全体に分散投資することが可能になります。
ETFは株式と同じように証券取引所に上場しており、取引時間内にリアルタイムで売買が可能です。
購入方法も、証券口座を通じて株式と同じように行うことができます。
ETFの価格は、投資対象となっている資産の市場価格を基に決定されます。
基本的には、ETFの市場価格は、その中身(基準資産)の価値にほぼ連動します。
しかし、需給の影響により、時には市場価格が基準価額と乖離することもあります。
ETFのメリット
ETFには多くの利点があり、これが投資家にとって魅力的な選択肢となる理由です。
分散投資が容易にできる
ETFは、個別の株式や債券を購入する代わりに、指数に連動した一括投資を実現できます。
例えば、日経225連動型ETFを購入すれば、日経平均株価を構成する225銘柄に分散投資できるため、リスクを分散しながらも日本の株式市場全体の動向に投資することができます。
低コスト
ETFは一般的に、アクティブ運用の投資信託に比べて運用コスト(信託報酬)が低い傾向にあります。
これは、ETFがインデックス運用を中心としているため、運用の手間が少なく、管理費用を抑えられるためです。
流動性の高さ
株式と同じように、ETFは取引所で売買されるため、市場が開いている時間帯であればいつでも売買可能です。
このため、必要に応じて短期的に現金化したり、ポートフォリオを調整したりすることが簡単です。
税制優遇
日本では、ETFは上場株式として扱われるため、譲渡益に対して軽減税率(約20%)が適用される点もメリットです。
通常の投資信託と比べて税制上の優遇を受けられる場合があります。
透明性
ETFはその構成銘柄や運用方針が明確に示されています。
投資家はファンドの中身を常に確認することができ、どの銘柄にどれくらい投資しているのかを理解しやすいです。
この透明性が投資家にとって安心材料となります。
ETFのデメリット
ETFには注意すべきデメリットもあります。
市場の変動に影響されやすい
ETFは市場に上場しているため、個別の銘柄の需給によって価格が変動します。
特に株式市場が大きく動く場合、ETFの価格も同様に影響を受けます。
リスク分散のためにETFを利用する一方で、短期的な価格の変動リスクには注意が必要です。
市場流動性が低いとスプレッドが広がる
人気のあるETFは流動性が高いため、売買がスムーズですが、マイナーなETFの場合は流動性が低く、売買価格の差(スプレッド)が広くなることがあります。
これにより、購入時や売却時にコストが高くなる可能性があります。
配当金の受け取りに手間がかかる場合がある
ETFは分配金(配当金)を受け取ることができますが、その分配金が再投資されるのか、現金として支払われるのか、ETFのタイプによって異なります。
配当金を再投資して運用を続ける場合、手間がかかることがあるため注意が必要です。
短期的な運用には不向き
ETFは長期的な投資に向いている商品であり、短期的な売買で利益を上げるのは難しいことがあります。
特に、株式市場全体に連動したETFは、個別株よりも値動きが緩やかなため、短期的な利益を狙うには適していません。
ETFへの投資方法
ETFへの投資は、比較的簡単で、以下の方法で投資できます。
- 証券口座を開設
ETFは証券取引所に上場しているため、証券口座を開設する必要があります。
口座を開設したら、ネット証券などでETFを取引できます。 - 購入したいETFを選ぶ
どのETFを購入するかを決定します。
自分が投資したい市場や分野に連動するETFを選ぶことが大切です。
例えば、世界の株式に投資したい場合は、世界株に連動したETF、特定のセクターに投資したい場合は、そのセクターに特化したETFを選びます。 - 売買注文を出す
ETFを購入したい場合は、株式と同様に注文を出すだけです。
注文は「成行注文」や「指値注文」など、株式取引と同じ方法で行えます。 - 定期的に運用状況を確認する
ETFはインデックスに連動しているため、特に運用を監視する必要はありませんが、市場環境や自分の投資方針に応じてポートフォリオを見直すことは大切です。
まとめ
ETFは、その分散投資の利便性、低コスト、流動性の高さ、透明性など、多くのメリットを提供します。
しかし、市場変動に影響されやすい点や短期的な運用には不向きな点もあります。長期的な投資を考える場合や、特定の市場やテーマに分散投資したい場合に特に有効な投資手段と言えるでしょう。